期日現金と手形取引の違いとは?期日現金をファクタリングすることで早期現金化の検討も!

企業が商取引をする際、その場で現金をやり取りするのではなく後日支払いを行うことが多々あります。この後日支払いの方法の一つに「期日現金」があります。

この記事では、期日現金の概要や似たような仕組みの「手形取引」との違い、期日現金よりも早く現金化する方法などについて紹介していきます。

期日現金とは?

期日現金の特徴や長所(強み)・短所(弱み)について確認しておきましょう。

期日現金の仕組み

期日現金とは、商品やサービスを販売した際に支払われる代金を、決められた期日に入金してもらうことです。期日の設定も長めにすることができ、例えば60日、90日、120日などに設定されます。

期日現金の場合は、「手形」の振出しは行いません。そのため、支払う側としても手形を振り出す場合にかかる手形手帳代(発行手数料)、印紙代、手形を簡易書留で送付するための郵送費用などのコストが削減できます。

しかし、商品やサービスを販売したにもかかわらず代金を支払ってもらえないと大変な損害を被ってしまいますし、販売から支払いまでの期間が長いほど倒産等の予期せぬアクシデントにより支払われなくなるリスクが高まるため、期日現金を利用する場合は取引先との信用が非常に大切です。このような理由もあり、期日現金を利用するのは大手企業が中心となっています。

参考情報:支払手形削減サービス(ファクタリング方式(電子記録債権版))(三井住友銀行)

期日現金の長所(強み)・短所(弱み)

期日現金の長所(強み)は、次の通りです。

・即時支払いをしなくてもよい

期日現金を利用すれば、即時支払いの必要がありません。取引先の合意が得られれば、支払いまでの期日を数ヵ月後~半年後などに設定できます。

・コストが安い

手形で代金を支払う場合は、金額に応じて印紙の貼付が必要になるため、印紙代がかかります。手形を簡易書留で郵送する場合は郵送代も必要です。また、金融機関から発行する手形帳の費用もかかるでしょう。取引内容によって異なりますが、これらの費用は数千円~数万円かかります。しかし、期日現金では発行するものがないため、振込手数料以外のコストはかかりません。

では、期日現金の短所(弱み)も確認しておきましょう。

・現金化までの期間が長い

期日現金では、支払期日が数ヵ月後~半年後になることもあります。支払う側としては、一定の規模に該当すれば、親事業者が下請に対しての不公正な取引による下請法に抵触する可能性も考えられます。受け取る側としては、その間に資金が必要になることがあったとしても、手元に資金が入りません。新規事業のアイデアや設備投資のチャンスがあっても、資金がなければ機会を逃してしまう可能性もあります。

参考情報:下請取引適正化推進講習会テキスト(公正取引委員会・中小企業庁)
参考情報:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで(国税庁)

期日現金と手形取引はどう違う?

商品やサービスを販売して、しばらく期間が空いた後に支払いを行う取引には「手形取引」もあります。期日現金との違いは何でしょうか。

手形取引との違い

期日現金と手形取引の違いは以下の通りです。

・手形振出の有無

手形取引では手形が振り出されますが、期日現金では手形のようなものはありません。手形振り出し時にはさまざまな費用がかかるため、期日現金のほうが手形取引に比べてコストが安くなるという違いがあります。

・支払期日前に現金化する手順

支払期日前に現金化する手順も違います。支払期日前の手形が手元にある場合、資金が必要なときに銀行などの金融機関で手形を現金化してもらう融資取引の1つが「手形割引」と呼ばれています。

ただし、手形に記載された全額が手に入るわけではなく、割引料や割引手形の取立料が控除された金額となります。銀行などの金融機関は、手形を振り出した(発行した)企業(振出人)の情報や手形割引を依頼した企業(受取人)の信用状態・買戻し能力を審査して、割引率を決定します。

期日現金では、売掛債権をファクタリングによって現金化が可能です。

・不渡りが出た場合の扱い

手形を振出し、支払期日が到来したにもかかわらず、決済ができないことを「不渡り」といいます。不渡りを出すと手形の振出人(支払側)の信用情報に大きな影響を及ぼすため、注意しなければいけません。

不渡りを出すと、金融機関が手形交換所に不渡届を出します。この情報は、不渡報告に掲載され加盟銀行に通知されます。そのため、1回目の不渡りでも企業の信用力は大きく低下し、金融機関からの借入れが難しくなることがあります。また、契約によっては1回目でも不渡りを出すと、すべての融資の一括弁済を請求されることがあるので注意が必要です。

6か月以内に2回目の不渡りを出すと、銀行取引の停止処分を受けます。融資取引だけでなく当座預金取引もできなくなります。取引停止の期間は2年間です。借入れだけでなく手形の利用もできなくなるほか、金融機関から「事実上の倒産」とみなされ、事業継続が難しくなることも少なくありません。

期日現金での取引の場合は、手形不渡り時のような金融機関からの処分はなく、決済ができなくなった取引先以外については(差押え等がなされない限りは)解除事由とされていることは少ないです。もっとも、賠償や債務の履行を請求を請求され、取引先の信用を損なうことは間違いないでしょう。

参考情報:15. 不渡りとその影響(三井住友トラスト・ローン&ファイナンス)
参考情報:東京手形交換所規則・施行細則(抜粋)(一般社団法人 全国銀行協会)

手形取引から期日現金に切り替え時の注意事項

では、手形取引から期日現金取引に切り替える場合には何に気を付けておくべきなのしょうか。

まず支払いを確実に行えるかどうか、取引先の信用度をチェックすることが大事です。

しかし、最も確認しておきたいのは、期日現金に変更することで、手形割引料相当額や振込手数料等を受領者に負担させるような「買いたたきにあわないか」という点です。下請への支払期日を長期化すれば、不公正な取引に該当する可能性もあります。入金方法が変わるからといって、一方的に値引きや支払条件の変更をしていいはずはありません。この件については、中小企業庁からも注意喚起されています。

もし、手形取引から期日現金取引に変更する話がでたら、支払金額についてしっかりとチェックするようにしましょう。

参考情報:FAQ「下請代金の支払手段について」(中小企業庁)

ファクタリングを利用して期日現金でも早期現金化

期日現金で支払いされる場合、現金化されるまでに数ヵ月~半年ほどの時間がかかります。その間、現金化する手段についても知っておきましょう。もし、期日現金の資金が必要になった場合には「ファクタリング」という手段があります。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、企業が持つ売掛債権を譲渡することで現金化する取引です。ファクタリングを行うことで、入金期日がずっと先であってもすぐに資金が手に入ります。ファクタリングの一般的な流れをご紹介します。

【OLTAクラウドファクタリングの流れ】

・ファクタリング会社の審査を受け、登録

まずはアカウント登録を行います。インターネット上での事前審査を行った後、代表者の本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)を提出します。

・必要書類を提出

以下の必要書類を提出したら申込み完了です(会社の状況などによって、下記以外の書類が必要となる場合もあります)。

  • 昨年度の決算書一式(貸借対照表・損益計算書・勘定科目明細)
  • 入出金明細(保有する全銀行口座の明細直近7ヵ月分)
  • 現金化したい請求書(請求金額・入金日が確定しているもの)

これらの書類は、インターネット上でアップロードして提出します。

・見積もり結果の提示と資金の振り込み

提出した情報をもとに、請求書の買い取りの可否が審査され、見積金額が提示されます。見積もり結果を確認後、承諾したら資金が振り込まれます。

以上がファクタリング利用の流れです。OLTAの場合、通常、契約から現金化までのスピードは1~3日となっています。

ファクタリングの長所(強み)

ファクタリングの長所(強み)についても触れておきます。「なぜファクタリングが選ばれているのか」という疑問を解決していきましょう。

・現金化が早い

手形や期日現金での現金化には数ヵ月かかるのが一般的です。しかし、ファクタリングの場合、早ければ申し込んで即日の現金化も可能です。急ぎで資金調達したい企業の要望に応えてくれるサービスといえるでしょう。

・手間が小さい

先にご紹介した通り、手形取引をしている企業の場合、各種記載(手形は必要的記載事項があり、記載が欠けると原則として手形が無効となります)、署名、印紙の貼用、手形の郵送や銀行への提示などの事務手続が多く、手間がかかります。

他方で、ファクタリングはオンラインで手続が完結し、書類さえ準備できれば、手形に比べて事務手続を簡素化できます。

・ノンリコース

手形は手形法の定めに基づき、手形を裏書譲渡をした場合であっても、手形の振出人が不渡りとなった場合には、譲渡した人が責任を負うものとされています(リコース)。

他方で、ファクタリングは、対象債権が支払われなかった場合、ファクタリングを申し込んだ人は責任を負う必要がありません(ノンリコース。なお、もしもファクタリングであるにもかかわらず、契約書に買戻し特約や償還義務が定められている場合は、似非ファクタリングを疑う必要があります)。

その他にもOLTAでは「面談不要で申込みから振込みまで完了」という強みがあります送られてきた本人確認書類や決算書で審査を行い、その結果でファクタリングを行えるかどうかが決定。わざわざ面談する時間を取られることもありません。

2者間、3者間の違い

ファクタリングの契約といえば、忘れてはいけないこともあります。それは、2者間、3者間どちらで行うかという点です。それぞれの違いを簡単に挙げてみます。

・2者間ファクタリング

利用者とファクタリング会社の2者間で契約します。取引先には、ファクタリングの事実を知られることはありません。3者間ファクタリングよりも申込みから振込みまでのスピードが早い傾向があります。

・3者間ファクタリング

取引先に対してファクタリングを行ったことを通知するファクタリングです。2者間ファクタリングよりも手数料が低い傾向があります。

スピード重視ならば2者間ファクタリング、手数料の低さを重視するならば3者間ファクタリングを検討してはいかがでしょうか。

合わせて読みたい記事ファクタリングとは?2社間と3社間の違いを含めた仕組みを解説

OLTAであれば2者間でも手数料が抑えられる

OLTAが提供するのは2者間ファクタリング。手数料は2~9%と、他のファクタリング会社に比べてかなり低めに設定されています。しかも、費用は買取時の手数料のみで、その他の費用は一切かかりません。

また、OLTAは申込時の面談も不要です。面談が必要なファクタリング会社に比べると、振込みまでのスピードが格段に早くなります。

ファクタリングの利用を検討する際は、2者間・3者間の違いだけでなく、「手数料の高さ・低さ」「振込みまでのスピード」などについても、きちんと確認してから決定することをおすすめします。

監修
弁護士・公認会計士 和田雄太

※2021年2月の法律に基づいた記事です。