中小企業の資金調達方法9選!それぞれの長所(強み)・短所(弱み)

会社を設立して事業を進めるには、設備投資のための初期費用と仕入れや従業員の給与支払いに使う運転資金が必要です。しかし、中小企業は金融機関からの借入れが厳しく、「大企業に比べて資金繰りが厳しい」という傾向があります。本記事では、創業期の資金調達5つと、創業以外にも利用できる短期少額の資金調達手法4つの計9つの中小企業の資金調達方法をピックアップして、それぞれの長所(強み)と短所(弱み)について解説します。

中小企業の資金調達の課題

中小企業の資金調達には、主に次の5つの課題があります。

  • 資金の必要な創業期になかなか融資が受けられない
  • 企業の状態が不透明でリスクが高いとみなされがち
  • 知名度がないと出資や社債発行による調達も困難
  • 資金調達に時間がかかる
  • 担保を要求される

これらの課題について解説します。

資金の必要な創業期になかなか融資が受けられない

創業期の融資としては、日本政策金融公庫の創業融資を受けるのが一般的です。しかし創業融資とはいえ、自己資金は必要な金額の10%以上用意しなければなりません。設備投資額の大きな業種は、自己資金を用意するだけでもひと苦労です。

また、自己資金で起業する経営者もいます。そのまま事業が軌道に乗ればいいのですが、創業期は資金繰りが安定せず、資金繰りが悪化して赤字経営になってから創業融資を申し込むケースもあるでしょう。しかし、赤字経営になってからでは創業融資の審査は厳しくなるため、融資を受けられない場合も少なくありません。

参考情報:新創業融資制度(日本政策金融公庫)

企業の状態が不透明でリスクが高いとみなされがち

中小企業は、大企業に比べるとどうしても社会的信用が低く、リスクが高いとみなされます。金融機関側からすれば、融資した資金は回収しなくてはならないため、どうしてもリスクの少ない大企業が優先されがちです。企業規模別に見た借入金の推移を見ると、2008年のリーマンショック後に大企業の借入金は増加しています。

企業規模別の金融機関からの借入れ難易度は、景気に関わらず一貫して中小企業の方が厳しいという統計結果が出ています。

参考情報:第5章 中小企業の成長を支える金融(中小企業庁)

知名度がないと出資や社債発行による調達も困難

金融機関からの借入れが難しい場合は、出資や社債発行といった直接投資による資金調達方法もあります。しかし、知名度のない中小企業の場合は、なかなか出資者が現れずこの方法による資金調達も困難です。

事業が急成長する可能性のあるベンチャー企業なら、エンジェル投資家やベンチャー投資家からの投資も期待できますが、そうでない限りは難しいといえるでしょう。

資金調達に時間がかかる

資金調達にはさまざまな方法がありますが、例えば助成金や補助金などの場合は手続きが煩雑なうえに、着金までに時間がかかります。公的な資金調達は制限なども多く簡単に調達できるとは考えない方がよいでしょう。

担保を要求される

日本政策金融公庫などでは担保が不要な融資もありますが、基本的に融資には担保が必要です。担保とするものがない場合には融資による資金調達は難しいでしょう。

準備期間が取れる創業期の資金調達手法5選

創業期は、資金調達を成功に導くための準備期間が確保できる重要な時期です。創業期に利用を検討したい5つの資金調達手法を紹介します。

政府系金融機関からの創業融資

政府系金融機関とは、政府が一部または全額を出資している金融機関のことです。有名な政府系金融機関としては、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫(商工中金)が挙げられます。

特に日本政策金融公庫は、民間の金融機関では厳しい創業期の融資制度を多くラインナップしている傾向です。用意された創業融資制度は、いずれも無担保無保証人で低金利であることが特徴になります。

個人事業主や小規模事業者の場合は「国民生活事業」、中小企業は「中小企業事業」、農林漁業者の場合は「農林水産事業」に融資の利用が可能です。融資額には上限があるため、それ以上の資金調達が必要な場合は民間金融機関の融資の併用を検討しましょう。

自己資金だけで企業を検討している場合も、途中で資金繰りが苦しくなるリスクも考慮して、開業時には日本政策金融公庫の創業融資を検討しておくことが重要です。スムーズに創業融資を受けるためには、次の条件を満たすように事前準備をします。

  • 自己資金を10%以上用意
  • 創業計画書(創業1年以上経過している場合は事業計画書)を作成
  • 代表者が借金や税金を滞りなく返済しているという証拠を残す

自己資金を準備する場合は、自分でコツコツと貯めた資金のほうが認められやすい傾向があります。逆に、親族から借りて用意した資金しかない場合は、自己資金として認められないこともあるため注意が必要です。

創業計画書は、「日本政策金融公庫が融資をするかどうか」を判断する重要書類です。創業計画書の記入例は、日本政策金融公庫の公式サイトに掲載されているため、参考にしながら無理のない計画を策定しましょう。

地元の商工会議所などでは、創業相談や開業スクールなど創業支援を行っているため、これらの支援を利用することで、創業計画書を専門家にチェックしてもらえます。

これらの準備をしっかり行えば、日本政策金融公庫からの創業融資を受けやすくなるでしょう。

参考情報:創業支援(日本政策金融公庫)

地方の商工会議所経由の融資

地方の商工会議所では、小規模事業者向けの融資制度を提供している場合もあります。信用保証協会を通じて民間金融機関から融資を得られるようにする制度で、担保は不要、個人事業主の場合は保証人も不要、法人の場合は原則として法人代表者のみ必要です。

政府や地方自治体からの助成金や補助金

政府や地方自治体は、創業する企業に対する助成金や補助金を用意しているケースがあります。助成金や補助金は、融資と異なり返済の必要がありません。金額的には多くありませんが、利用できるものはすべて利用したい資金調達手段の一つです。

中小企業庁では「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」「IT導入補助金」などの補助金制度を提供し、中小企業の資金繰りをサポートしています。地元の商工会や商工会議所が小規模事業者支援の目的で用意している「小規模事業者持続化補助金」などがその一例です。

日本政策金融公庫の創業融資で準備する創業計画書や事業計画書は、助成金や補助金の申請にも役立ちます。

参考情報:よく見られている補助金・給付金(経済産業省)
参考情報:経営サポート「小規模企業支援」(中小企業庁)

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資

将来、急成長が見込まれる有望なスタートアップ企業なら、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資が期待できます。ベンチャーキャピタルの場合は、未上場企業に投資して、企業が上場したときのキャピタルゲインで収入を得るため、上場する予定のない中小企業は投資の対象外です。

一方で、エンジェル投資家の場合は、そのような縛りはありません。手がける事業の将来性が高いなら、マッチングサービスなどを利用して出資を募ることも一つの方法です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、新しい資金調達方法として近年注目を集めている資金調達手法です。インターネット上で事業内容や商品について説明をして、広く一般に出資を募ります。立ち上げたばかりで知名度のない中小企業や個人事業主でも、プロジェクトを立ち上げ資金を募ることができますが、必ずしも希望通りの資金が集まるとは限りません。

短期少額の資金調達手法4選とそれぞれの長所(強み)・短所(弱み)

創業時に必要な多額の資金調達手法以外に、短期少額の資金調達手法もあります。それぞれの長所(強み)と短所(弱み)を一覧にまとめました。

資金調達方法長所(強み)短所(弱み)
銀行・金利が低い・融資額が大きい・審査が厳しい・融資に時間がかかる
個人ローン・個人の属性や信用力が高ければ可能・会社への審査はない・融資額が小さい・金利が高い
ビジネスローン・融資スピードが速い・審査は比較的通りやすい・金利が高い・融資額が銀行より小さい
ファクタリング・早い場合は即日資金調達・会社への審査はない
・取引先や債権の審査がある・手数料が高い・調達金額は売掛債権の範囲内

4つの資金調達方法の特徴については、次で説明します。

銀行

銀行から融資を引き出す方法です。銀行から融資を受けることができれば、低金利、かつ融資限度額も大きいという点が長所(強み)です。ただ、審査が厳しく融資に時間がかかりがちなため、資金が早急に必要な場合は利用しにくいでしょう。

個人ローン

会社として融資を受けるのではなく、代表者個人として金融機関やノンバンクからフリーローンとして融資を受ける方法です。会社の業績に関係なく借り入れができる点は長所(強み)ですが、代表者の属性や信用力がなければ借りることはできず、多くの融資額は期待できません。金利も、フリーローンは5%からなど高めに設定されています。

ビジネスローン

ビジネス用に借りるローンです。銀行や政府系金融機関より審査は比較的通りやすく、即日融資も可能な資金調達手法といえるでしょう。しかし、少額の場合は18%など高金利が大きな負担になったり、銀行よりも融資額は少なくなったりする点は短所(弱み)です。

ファクタリング

売掛債権をファクタリング会社で現金化し、売掛債権の範囲内で資金調達する方法です。借入れをするわけではないため、バランスシート上の負債は増えません。また、会社によっては即日で資金調達すことも可能です。ファクタリング利用者の審査はないため、会社の経営状態に関係なく資金を調達できる長所(強み)もあります。

ただし、「取引先や債権内容の審査がある」「手数料が高い」「調達できる金額は売掛債権の範囲内かつ対象債権の額面から手数料を引いた額」という点は短所(弱み)です。

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手数料の負担が少なく素早いキャッシュフロー改善が可能

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中小企業の資金調達方法はさまざまです。現在手元にある売掛債権を現金化できるファクタリングは、会社にとって負債が計上されないので、これ以上負債の金額を増やすことなく資金調達を行うことができます。ファクタリングの利用を検討する場合は、手数料の負担が少なく素早い資金調達が可能なOLTAをぜひご検討ください。

監修
弁護士・公認会計士 和田雄太

※2021年2月の法律に基づいた記事です。