ファクタリングの割引率とは?手形の割引との違いも説明

スピーディーな資金調達が話題のファクタリングですが、「実際利用する際にどのような費用がかかるのか気になる」という方も多いでしょう。中でも、割引率がどのようなものかわからないという声をよく耳にします。そこで、今回はファクタリングの割引率の概要と、手形の割引との違いについて解説します。

ファクタリングの割引率とは?

ファクタリングの割引率とは、簡単に言うと売掛債権などから差し引かれる手数料率のことです。

ファクタリングでは、売掛債権をファクタリング会社で現金化します。売掛債権を現金化する会社・個人事業主は、期日前に資金調達を行うことが可能です。

一方、ファクタリング会社は、売掛債権の請求期日がきた際、売掛債権を取引先から、ファクタリング会社自らまたは売掛債権を現金化した会社・個人事業主を通じて回収します。ファクタリングには大きく2種類あります。売掛債権を売却する会社とファクタリング会社との間で行うファクタリングが「2者間ファクタリング」、そこに取引先の会社を含めたファクタリングを「3者間ファクタリング」と言います。

ファクタリング会社は売掛債権を額面で取得し、請求期日後に同額の代金を回収するだけでは利益をあげることができません。そのため、一定割合の手数料を設け、手数料収入により利益を得ています。

ファクタリング会社は、売掛債権を買い取って代金を振り込む際に、売掛債権の額面金額から割引率に応じた手数料を差し引いた金額を振り込むことが一般的です。

ファクタリングの割引率はどのようにして決まるのか

ファクタリングの割引率を決める要素は、売掛債権の回収リスクや債権の回収・管理などのコストです。

債権回収能力

取引先が大企業であるなど、取引先の信用力が高ければ回収可能性が高いとみられます。逆に小規模事業者の場合はリスクの方が高いとみられる傾向です。ファクタリング会社は利用者の取引先を審査して回収リスクや回収・管理コストを判断しますが、会社によって判断する方法や能力、会社の資金力などが異なるため、割引率は各ファクタリング会社によって異なります。

例えば、万が一取引先が倒産した場合、ファクタリング会社では債権の回収が困難になります。そうした際の保険的意味合いも含めて割引率は変動します。

審査能力

ファクタリング会社では、それぞれに独自のノウハウをもって審査を行います。ファクタリング会社が持っている情報量や経験、また最近ではAIに代表されるような技術力のある審査もあり、そこにかかる費用に差が生じます。

ファクタリング会社の規模

ファクタリング会社自体が取り扱っている件数が多くなれば、ファクタリング会社側の経費も抑えられるため、利用者の割引率にも反映されます。

上記以外にも、債権譲渡登記を司法書士へ依頼する場合は、司法書士への報酬や登録免許税などで数万円程度の費用がかかるため、手数料に含まれることがあります。

手形の割引とファクタリングは何が違う?

割引と聞くと、手形の割引を多い浮かべる人も多いのではないでしょうか。では、「手形の割引とファクタリングは何が違うのか」確認していきましょう。

手形は手元に現金がない場合などに、2~3ヵ月程度後に支払いすることを約束して発行されるものです。手形を受け取った会社は、振り出した会社から数ヵ月後に、手形に記載された金額を現金化することができます。

手形割引とは、期日が来る前に手形を銀行などの第三者に売却し資金調達することです。手形割引の際には、手形割引料を支払います。手形割引料の金利は、一般的に銀行では1.0%~5.0%程度、ノンバンクの場合は3.0%~15.0%程度となります。

手形と売掛金の違いはあるものの、どちらも期日前に第三者を通して現金化しているので、手形の割引とファクタリングは同じではないかと思われるかもしれません。しかし、実は手形と売掛金には大きな違いがあります。

まず、手形割引は融資に分類され、利息制限法が適応され割引手数料最大15~20%(手形の金額によって異なる)に制限されています。しかし、ファクタリングは売買取引であるため、利息制限法が適用されません。

また、債権不履行になったときの責任も手形割引とファクタリングでは異なります。

手形の場合は手形法という法律が適用されるため、譲渡(裏書き)した手形の発行元が倒産した場合、手形を譲渡した人(裏書人)が、手形の割引をした人(譲受人)から、手形を買い戻さなければなりません。しかし、ファクタリングの場合は手形法が適用されないため、取引先が倒産してもファクタリング会社に債権を賠償しなくてもよいのです。

参考情報:手形法(e-gov)

なお、悪質なファクタリング会社の場合、債権の買戻しや損害賠償を求めてくることがあります。このようなファクタリング会社はいわゆる似非ファクタリング会社として違法であるため、契約の際には必ず確認しましょう。

ファクタリング会社を選ぶ際は割引率が低く信頼できる会社を

ファクタリングの割引率とは、簡単に言うと売掛債権などから差し引かれる手数料率のことです。割引率は売掛債権の回収リスクや回収・管理コストをファクタリング会社がどれだけ引き受けることができるかによって決まります。

登記の有無など、ファクタリング会社によって生じる費用が異なるため、割引料も大きく異なります。ファクタリング会社を選ぶ際には、割引率が低く、信頼のおける会社を選びましょう。

OLTAでは登記費用は一切かからないだけでなく、審査はすべてオンラインで完了するため、面談も不要です。その分、割引率も低く設定しています。ファクタリングをお考えの際はぜひご検討ください。

監修
弁護士・公認会計士 和田雄太

※2020年10月の法律に基づいた記事です。