利益がでているのになぜ苦しい!?健康経営とは

事業が順調に展開しているにも関わらず、従業員の離職率が高いという企業も多いと思います。

業績を上げていて、それに伴う報酬が支払われていたとしても、超過労働や過度なストレスによって疲弊している従業員が複数みられる会社もあるでしょう。

労働人口が将来的に減少するといわれている日本社会で、労働力の確保や従業員の定着と、生産性の向上の両方を目指す「健康経営」という考え方が広まってきています。

健康経営とはどのような考え方で、実際の経営にどのように取り込んでいくのか、健康経営を行う上での金銭的な負担を低減する助成金の存在などを説明していきます。

健康経営の定義

健康経営とは、従業員の健康管理を経営課題としてとらえ、戦略的に従業員の健康増進を実施することで会社の生産性向上を目指す経営手法のことです。

健康経営が注目される理由

医療の進歩などの理由により「人生100年時代」が提唱されている現代は、人口の3分の1が65歳以上であり、将来的にも人口に占める高齢者の割合が増えていくと言われています。

労働人口が低下する中で、将来に向けた労働力の確保や従業員の定着が求められているため、従業員に長く活躍してもらう取り組みとして健康経営が注目されています。

健康経営とは?

先ほどの定義通り、健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。

企業理念に基づき従業員等への健康投資を行うことで、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。

健康経営が提唱された背景

健康経営は、アメリカの学者ロバート・ローゼンが自らの著書で提唱した「ヘルシー・カンパニー」という考え方に基づいており、日本の社会情勢の変化に伴う労働環境の変化により注目され、普及しはじめています。

健康経営のきっかけとなった「ヘルシー・カンパニー」

アメリカの経営学および心理学の専門家であるロバート・H・ローゼン(Robert H. Rosen)が、1992年に出版された著書「The Healthy Company」で提唱した考えに基づき、健康経営という考え方が生まれました。

ローゼンは著書の中で、健康であることが従業員の意欲を高め、それに伴い生産性が向上し、離職率・企業による医療費負担が減少すると論じ、事例研究によってそれを実証しました。

このローゼンの考え方に基づき、従業員の健康に配慮することで企業の継続的な成長の実現を目指す経営手法として健康経営という言葉が生まれました。

社会情勢の変化

超高齢化社会が進展するとされる日本では、労働人口の低下が社会問題となっています。また、少子高齢化のよる医療費の増加も大きな問題です。

健康保険組合連合会がまとめた2018年の予算集計によると、全1389組合のうち62%にあたる866組合が赤字となっています。

この赤字を解消するために、健康保険料の増加という形で企業の負担が増すことが考えられるため、医療費の削減は単に国の課題だけではなく、企業にとっても大きな課題となっています。

以上のような社会情勢の変化によって、従業員の健康を確保するための取り組みが、企業にとっても重要となっています。

健康経営導入のメリット

健康経営は、単に健康増進の取り組みを受けられる従業員だけではなく、企業にとっても多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを4つ紹介します。

業務効率化や生産性向上

企業が従業員に対し健康増進の取り組みを行うことで、将来的な疾病リスクに対する予防や健康の確保につながり、結果として欠勤率低下や心身の充実を図ることができます。

また、従業員の健康増進によって活力がアップすることは、モチベーション向上による業務効率化や生産性向上に繋がります。

企業価値やイメージの向上

後ほど詳しく紹介しますが、経済産業省は健康経営に取り組んでいる企業を評価する仕組みとして、「健康経営銘柄」・「健康経営優良法人制度」を定めています。健康経営銘柄や健康経営優良法人に選ばれる、または健康経営に取り組んでいることを社外に情報発信することによって、従業員の健康に配慮している企業として認知、あるいは評価されます。

経営上のリスク回避及び低減

長時間労働や過度なストレス環境で仕事をすることで従業員の精神的負担が大きくなり、結果として鬱病などの精神的疾患による休職や、最悪の場合従業員が自殺してしまうという事例が社会問題となっています。

企業価値・イメージの低下のみならず、裁判等で責任を負うリスクが生まれますが、健康経営を行えば、これを回避または軽減することができます。

社員定着化や離職率の改善

人材不足が深刻化するなか、社員の健康に配慮する取り組みは、職場の活性化に繋がります。

また、社員が健康で働きやすい環境が整備されれば社員満足度が向上し、結果として社員の定着化と離職率の改善に効果があります。

疾病手当の減少にも

健康経営を行うことで、単に社員が定着するだけでなく、退職者の高齢者医療費負担の軽減や、疾病による長期休暇の取得率の低減につながることが期待できます。

アメリカと日本の健康経営の現状

先ほど紹介したように、健康経営はアメリカの学者により提唱された考え方です。アメリカは、日本のような公的医療保険制度がないため、従業員が病気になると本人に大きな経済的負担が課せられることになります。

そのため、1990年代と早くから従業員の健康を改善するための取り組みとして、健康経営が注目されていました。

一方、日本で健康経営という考えが広まってきたのはここ数年と、まだまだアメリカに比べるとその取り組みは遅れています。

健康経営に対する日本企業の認知度

先ほど紹介した「健康経営銘柄」は2014年からスタートした取り組みです。また、「健康経営優良法人制度」は2017年に始まりました。

また、日本政策投資銀行は2012年から「DBJ健康経営格付融資」を行っています。これは、健康経営に取り組んでいる会社を評価して、その評価に応じた融資を行うという制度です。

これらの制度は、いずれも近年に始まったもので、取り組みの開始はアメリカに遅れているものの、日本企業に対して健康経営の考え方が周知され始めているといえます。

日本で健康経営が意識された背景とは

国が健康経営を評価する仕組みは、日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に対する取り組みとして近年整備されています。

労働人口低下に対する施策である「働き方改革」の一つとして、健康経営が日本でも意識され始めています。

健康経営普及に向けた政府等の取り組み

ここでは、すでに何度か語句として紹介した「健康経営銘柄」・「健康経営優良法人認定制度」について、その詳細を説明します。

経済産業省が指定する「健康経営銘柄」

経済産業省と東京証券取引所が共同で、従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として選定し、公表することで、企業の健康経営の取組が株式市場等において適切に評価される仕組みづくりに取り組んでいます。

「健康経営銘柄」は優れた健康経営の取り組みを実施する企業を、東京証券取引所の上場企業33業種から各業種につき1社ずつ選定します。

4回目となる「健康経営銘柄2018」では26業種26社が選定されました。

健康経営優良法人認定制度

地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度として、健康経営優良法人認定制度を行っています。

「健康経営優良法人2018」では大規模法人部門に541法人、中小規模法人部門に776法人が認定されました。

ホワイト500

「ホワイト500」とは、「健康経営優良法人認定制度」のうち、規模の大きい企業や医療法人を対象とした大規模法人部門の認定法人を指す愛称のことです。

2017年にはじまった「健康経営優良法人認定制度」について、国は2020年までに大企業や大規模医療法人で500法人以上の認定・公表を目指しており、「ホワイト500」の愛称はこのことにちなんで名づけられたものです。

中小企業での健康経営普及に向けた取り組み

大企業だけでなく、中小企業についても健康経営を普及させるために、国は様々な取り組みを行っています。

中小企業の取り組み事例集

東京商工会議所が発行している「健康経営ハンドブック」や経済産業省の「中小企業における健康経営のススメ」は、中小企業の取り組み事例や導入プロセスの紹介など、実践に役立つ情報が紹介されています。

キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者に対する処遇改善など取り組みを実施した企業に対して行われる助成制度です。

その中で健康診断制度コースは、助成の対象となる労働者に対して一定の健康診断制度を規定し、実施した事業主に対して要件を満たす場合に助成されます。

職場定着支援助成金(雇用管理制度助成コース)

職場定着支援助成金のうち雇用管理制度助成コースは、平成30年より人材確保等支援助成金に統括され、制度導入助成が廃止されました。

雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度(保育事業主)のみ)の導入等による雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合に助成されます。

健康経営の具体的な進め方

健康経営を具体的に企業に導入するためには、組織の統率力が高い日本の企業の場合、以下のようなトップダウン型の健康施策が好ましいと考えられています。

トップが明確なビジョンを提示する

まずは企業のトップ自らが健康経営に関する明確な認識を持ち、そのビジョンを全従業員に通知する必要があります。

それによって健康への取り組みが企業としての取り組みであるという理解が従業員に促されます。

組織内の体制を整備する

従業員に周知した後で、健康経営に取り組むための組織の体制を整備する必要があります。

もともと存在する人事部・総務部等が統括するか、健康経営の推進を担う部署やチームを設立する方法が考えられます。

従業員の健康状態を把握・分析する

定期的に実施しているはずの健康診断の結果をもとに、産業医に従業員の健康状態の分析と、取り組むべき課題について指導を受けることで、健康経営の目標を定めるための現状把握を行います。

産業医がいない中小企業の場合は、地域産業保健センターを活用するなどして、外部の医師の指導を受けることが可能です。

目標を明確化し、具体的な取り組みを検討・実施する

従業員の健康状態を把握・分析し、課題が浮かび上がれば、その課題に対する取り組みを検討し、中長期的な計画を策定し、実行します。

取り組みの効果を検証する

健康経営についても、計画し実行した後は、適切にその効果を検証する必要があります。

そして、検証結果に応じて、目標に向けての新たな課題を発見し、それに対する追加の取り組みを考え、新たな施策を実行していきます。

健康経営はこんな企業におすすめ

健康経営は、すべての企業が取り組むべき経営手法ではありますが、特に効果がある企業について説明します。

離職率が高い企業

いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる企業は、長時間労働や休日の不足、連続勤務など従業員の健康状態に悪影響を与える働き方の企業が多いとされています。

このような企業は、当然離職率が高くなるので、従業員の定着による生産性の向上を目指すために、健康経営に取り組む必要があります。

社員が病気がちで労働生産性に改善の余地がある企業

離職率は高くなくても、従業員の体調が悪いことが多い企業も健康経営によって、生産性の向上が見込めます。

従業員個人だけでなく、部署のマネジメントの問題があることも多く、個人の健康状態の改善だけでなく、企業・部署全体の働き方を見直すことで、大きな改善を得られる場合があります。

健康経営の企業事例

「健康経営銘柄」はこれまで4回選定が行われていますが、花王株式会社・テルモ株式会社・TOTO株式会社・株式会社大和証券グループ本社・東京急行電鉄株式会社・SCSK株式会社の6社が全4回で「健康経営銘柄」に選定されています。

このうち、花王株式会社は、2000年代から従業員の健康状態の可視化や、健康的な行動をするたびにポイントが貯まるという「健康マイレージ」制などを実施するなど、従業員の健康意識を高めるための様々な施策を行っています。

中小企業でも実践できる健康経営のポイント

健康経営は大企業だけでなく、中小企業でも行うべき経営の考え方です。中小企業の方が、経営者と従業員の距離が近い分、より経営者の健康経営に対する意思表示が重要となります。

健康経営は大企業のものだけじゃない

中小企業は、経済的な余裕などから健康経営に消極的になってしまうかもしれません。

しかし、健康経営に取り組む上で様々な助成金が設定されているので、経営者の強いリーダーシップがあれば金銭的な不安が少なくすむ形で健康経営を進めていくことが可能です。

助成金の例としては、「産業保健関係助成金」があげられます。労働者の健康管理、健康教育その他の健康に関する業務について、事業者及び産業医等の産業保健関係者の産業保健活動を支援し、労働者の健康を保つための助成金です。

その中の一つに「ストレスチェック助成金」があります。これは、従業員に対しストレスチェックを実施し、医師からストレスチェック後の面接指導等の活動の提供を受けた場合に助成されます。

助成金のその他の条件

「ストレスチェック助成金」を受けるための条件は、以下のものがあります。

  • 労働保険の適用事業場
  • 常時使用する労働者が派遣労働者を含めて50人未満
  • ストレスチェックの実施者が決定済
  • 事業者が産業医資格を持った医師と契約、ストレスチェックにかかる医師による活動
  • ストレスチェックの実施・面談指導を行う者は自社の使用・労働者以外

金額の目安

「ストレスチェック助成金」の助成金額は以下の通りです。

  • ストレスチェックの実施:1従業員につき500円
  • ストレスチェックにかかる医師の活動:1事業場につき1回の活動につき21,500円(上限3回)
  • 上限額を下回る場合は実費負担

その他の種類

「産業保健関係助成金」には、「ストレスチェック助成金」の他に「職場環境改善計画助成金」・「心の健康づくり計画助成金」・「小規模事業場産業医活動助成金」があります。

いずれも、それぞれの条件を満たした場合に交付をけることができる助成金です。

健康経営をする上でのポイント

健康経営の具体的な進め方でも述べましたが、健康経営を成功させるには、「健康施策」を他の企業活動同様に基本方針を決め、目標設定を行い、PDCAサイクルに落とし込むことが重要です。

経営理念に沿った、健康に関する基本方針などで会社全体の「従業員の健康保持・増進」をあげ、企業トップから発信する

中小企業の場合は特に、経営者と従業員の距離が近いために、健康経営に関する目標を従業員に強く周知することで、従業員に健康経営の施策を周知することが重要です。

従業員の健康保持・増進の推進を統括する組織体制の構築、専門人材の活用

健康経営を進めるための部署やチーム、人員の配置、および産業医や健康保険組合、地域産業保健センターなどの専門家の支援を受ける必要があります。

目標の設定および計画の策定

ただ単に従業員の健康増進をうたうのではなく、具体的な数値目標(喫煙率・メタボ比率・血圧等)を定め、それを達成するための計画を策定します。

従業員の健康保持増進施策の実施

具体的な目標を設定し、目標を達成するための計画を策定したら、その計画にのっとって具体的な健康経営施策を実施します。

従業員の健康保持増進施策の効果検証と改善措置

実際に施策を行った後で、必ず数値など客観的な指標をもとに施策の効果を検証し、改善点があればそれを解消するための代替案を施策します。

併せて、労働安全衛生関連法令の順守を実施

健康経営を実施する際には、関連する労働安全衛生関連法令(労働安全衛生法・過労死等防止対策基本法・労働基準法など)を順守する必要があります。

健康経営における女性社員への配慮

健康経営を進めるに際し、特に女性従業員に対して配慮する必要があります。

長く女性に企業で活躍してもらうためには、女性のライフステージに合わせた企業のサポートが重要です。そのためにも、女性の働きやすい環境や制度を整えることが重要です。

女性社員が働き続けられる環境

女性社員が働き続けられる環境作りとして、出産手当や、育休・育児手当、復帰後の支援制度などがあげられます。

育休・育児手当に関しては、女性だけでなく男性も取得しやすい環境づくりをする企業が増えています。

両親が育休をとれることで、育児に関する女性の不安を低減することができます。

また、復職後の支援制度としては、復職支援金や保育所の保育料補助、提携するベビーシッターの利用などがあげられます。

健康経営アドバイザーとは?

健康経営のエキスパートの資格として、「健康経営アドバイザー」という資格があります。

健康経営に関する問題点などを勉強する資格ですので、健康経営をすすめるうえで非常にためになる資格です。

資格の目的と内容

東京商工会議所が制定した、健康経営の基礎~実践における知識・技能を体系的に学ぶための制度です。

主に中小企業に対して、健康経営を推進するための指導を行う役割を担っています。

資格を取得するには?

健康経営に関する専門家(社会保険労務士、中小企業診断士、保健師、労働衛生コンサルタント、管理栄養士、健康運動指導士)による講義を受け、東京商工会議所の試験に合格すると、資格を取得できます。

まとめ

健康経営は、官民一体で推進していこうという機運が高まっている経営手法です。

短期的なコストは発生しますが、従業員の健康増進によって従業員の定着や生産性の向上が図れるため、中長期的には企業に大きなメリットをもたらします。

中小企業であれば、各種助成金も設定されていますので、企業の規模に関係なく積極的に健康経営に取り組んでいきましょう。

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