中小企業にとっての裁量労働制の事例まとめ

2018年の通常国会で大激論となっていたのが働き方改革です。

その中でも野党が追求していたのが「高度プロフェッショナル」という制度です。

高度プロフェッショナルというのは、高度な専門知識を有し一定水準以上の年収を得る人を高度プロフェッショナルと規定して、労働時間対象の規制から外す仕組みです。

時間ではなく、生産性で働くような労働環境を作るために政府としては必要な制度でしたが、一方で、いくら働いても残業代が出ないという問題点があります。

このような働き方を裁量労働と言いますが、実際に中小企業に裁量労働を導入することにはどのような問題点があるのでしょうか?

この記事では、裁量労働制の概要と、中小企業において裁量労働制を導入する問題点などについて解説していきます。

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1 裁量労働制とは

そもそも裁量労働制とはどのような働き方なのでしょうか?

まずは裁量労働制の概要について解説していきます。

1 個人の裁量

裁量労働制では労働時間を会社によって決められることはありません。

このため出勤時間も退社時間も個人の裁量に任せられており、勤務時間も個人の自由です。

裁量労働制の労働者は会社が求める仕事を期限までにこなせば、勤務時間に関する縛りは一切ない自由な働き方ができる一方、仕事の能率が悪いと長時間働かなければならないという懸念もあります。

2 働き方改革関連法案の一つ

裁量労働制は働き方改革関連法案の中で「高度プロフェッショナル制度」として導入されました。

高度プロフェッショナル制度では、年収1075万円以上の専門職に限り「高度プロフェッショナル」として、労働時間規制の枠組みから外すことができます。

また高度プロフェッショナルでなくても、会社は労使協定を結ぶことによって従業員に裁量労働制を適用することができ、中小企業の裁量労働制はほとんどのケースでこちらに該当するものです。

時間によって労働時間を縛ることが不適切な仕事である新聞記者などは裁量労働制が導入されていることが少なくありません。

3 裁量労働=みなし労働時間

裁量労働とは労働時間が決められてはいませんが、あらかじめ月に〇〇時間働いたとしておく、みなしの労働時間が決められています。

あくまでも「みなし」ですので、実際にはこのみなし時間通りに働く必要はありません。

しかし実際の労働時間の方が、みなし時間のよりもだいぶ多い場合には、労働者から不満が出てしまいます。

このため1日8時間・週40時間を超える場合は、36協定を結ぶ必要があり、この時間を超えている場合には割増賃金を払う必要があります。

4 業種ごとの違い

裁量労働制は全ての業種で導入することができない制度です。

業種の性格上、単純作業の工場ラインのような仕事はどうしても労働時間が生産量に直結する業種です。

このような業種で裁量労働制を締結した場合には、従業員にとって非常に不利になります。

また企業の管理職のような、企画を行う側の人間には裁量労働によって生産性を高めることができます。

このように裁量労働制を導入することができる業種は限られており、業種によって導入される裁量労働制を専門業務型裁量労働制と言い、業務内容によって導入することができる裁量労働制を企画業務型裁量労働制と言います。

それぞれについて具体的に解説していきます。

1.1 専門業務型裁量労働制

業務の性質上、労働者の裁量に委ねることができる業種のみ、裁量労働制の導入が可能です。

そのことを専門業務型裁量労働制と言います。

専門業務型裁量労働制で認められる業種には具体的に以下のような業種があります。

・研究開発
・情報処理システムの設計・分析
・取材・編集
・デザイナー
・プロデューサー・ディレクター
・その他厚生労働大臣が定めた業種

1.2 企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制とは、企業の中核部門において、企画立案などを行うホワイトカラー労働者に対して、みなし時間制を認めることです。
企画業務型裁量労働制の導入については専門業務型裁量労働制よりも厳格です。

導入には、労使委員会を設置し、5分の4以上の多数決を決議必要があるなど、専門業務型裁量労働制の導入よりも厳しい要件が設けられています。

2 中小企業における裁量労働制

大企業において高度プロフェッショナルという形で裁量労働を認めることよりも中小企業において裁量労働制を認めることの方が労働者にとってはリスクが高いと言えるかもしれません。

高度プロフェッショナルは年収1,075万円以上の高所得者に限られるため、そもそも一部の高所得の管理職などだけに導入が限られるためです。

しかしそもそも給料がそれほど高くない中小企業において、裁量労働制を導入すれば低賃金で長時間働かなければならない労働者が多くなることが懸念されるためです。

中小企業において裁量労働制を導入することの問題点は以下のようなものが考えられます。

中小企業経営者は裁量労働制の問題点をしっかりと理解してから導入を検討する必要があります。

1.1 残業代未払いの懸念

裁量労働といえども、みなし労働時間をオーバーしている場合には36協定を締結し、割増賃金を支払う必要があります。

しかしそもそも労働時間に縛られないため、実際には残業に相当する時間を働いていたとしても残業代が支払われない可能性があります。

まさに残業代ゼロで長時間労働にさらされるリスクがあるということになってしまうため、労働者が低賃金で酷使され、むしろ従業員のモチベーションや労働生産性が低くなってしまうという懸念があります。

1.2 下請け業者の負担増

IT企業などで指摘されている問題点が下請け業者で裁量労働制を導入するケースです。

IT企業などはプログラムの下請けを受けた場合には、納期がかなりタイトに設定されている場合が少なくありません。

IT企業においては、1つの仕事は1人が担っていることが多いため、結果として裁量労働をしている従業員が1人でタイトな納期の仕事をこなさなければならないという問題があります。

納期は最優先になるため、朝から深夜まで働き、なんとか納期までに仕事を完成させ体を酷使するものの残業代は発生しないという、裁量労働制の最も悪い部分が出てしまうことが多いのです。

納期のタイトな下請けを担っている会社が裁量労働制を導入する場合には、従業員がみなし労働時間の範囲内で仕事をこなせるように仕事を受注するという配慮も必要になるでしょう。

1.3 長時間労働の問題

先ほど述べたように、裁量労働制導入の結果として、残業代なしに長時間労働を従業員にさせてしまうということがあってはなりません。
特に企画や制作などのクリエイティブさが要求される職業においては、もともと残業時間も長いため、労働時間という概念がない裁量労働制がかえって長時間労働に拍車をかけてしますことになるのです。

これでは政府が主導する働き方改革の趣旨から随分離れてしまうことになります。

このようなことにならないよう、常時80時間の過労死ラインを超えるような労働時間で、他の従業員にも長時間労働が蔓延しているような深刻な状態なのであれば、労働基準監督署に報告し、指導してもらうなどの方法も検討しましょう。

1.4 休日出勤への対処

仕事量が多い場合には、休日出勤をして仕事を完遂させなければならない人も出てくる可能性があります。

しかしいかに裁量労働制でも、休日出勤をした場合には別途休日出勤手当は支給される必要があるものです。

休日出勤が蔓延している場合は、代休や休日出勤手当を設けるような就労規則へと変更する必要があるでしょう。

1.5 実労働時間とみなし時間の乖離

先ほど説明した通り、裁量労働制にはみなし時間というものが設定されています。

しかし実労働時間がみなし労働時間と大きく乖離している場合には、その分だけ従業員が給料が発生せずに働いているということでもあります。

このような場合にはみなし労働時間の見直しが急務です。

労働基準監督署などに相談し、就労規則を見直すなどの手続きを行い、早急にみなし労働時間を見直し、みなし労働時間と実労働時間の乖離を改善するようにしましょう。

1.6 個人による成果の出し方の違い問題

裁量労働制を従業員がうまく活用すれば、短い労働時間で報酬を得ることができます。

こうすることができれば労働時間が短くなり、家族と一緒にいる時間や家族といる時間が増え、まさにワーク・ライフ・バランスの充実に繋がります。

また、空いた時間を副業に活用して、さらに所得を増やすことができるという人もいるでしょう。

しかしこのような理想の働き方を実現するには、従業員1人1人が生産性を高める努力をする必要があります。

とは言え従業員皆が生産性の高い働き方ができるわけではありません。

中には、過労死ラインを超えるまで働かないと、ほかの従業員を同じような生産量を生み出すことができないという人もいるでしょう。

このように従業員の個人の能力によって、バラツキが生まれてしまうという問題があります。

さらに従業員1人1人の能力の違いが顕著になるため、会社内で従業員同士に亀裂が生じる可能性もあります。

これらの問題点を是正するために、会社としても短い時間で仕事ができるような、従業員の働き方のモデルを確立しておく必要があります。

従業員個々人に働き方を任せてしまうことは、長時間労働の蔓延という意味でもリスクが高いことであると言えるでしょう。

結論

裁量労働制は政府の求める働き方改革の趣旨に合致している働き方です。

しかし中小企業において、裁量労働制を導入することは長時間労働の蔓延などのリスクも大きくなってしまいます。

このようなリスクを排除するために、しっかりと会社内部で長時間労働を是正するためのルールを決めて、従業員が長時間低賃金で働くことになってしまうという事態を防ぐ努力をしていく必要があります。

自社がブラック企業にならないように、リスクにしっかりと対応した裁量労働制を導入するようにしましょう。

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